今回は失業手当について書いていきます。
まず、会社を退職した場合にしなければいけないことがいくつかあります。
- 失業保険の手続き
- 国民年金への加入
- 健康保険の手続き(任意継続または国民健康保険への加入)
他にも、住民税の手続きなどが必要な場合があります。
そして、今回は失業保険について僕自身の体験談も紹介しながら書いていこうと思います。
※僕が失業したのは2018年なのでその時と金額や条件が変わっている場合があります。また、ハローワークの認定基準が各自治体で違う場合があります。
失業保険
正式には雇用保険といいます。加入者は失業した場合や、退職した場合に失業手当を受け取ることができます。失業手当は再就職するまでの経済的な支援として給付されます。しかし、離職した全ての人がもらえるわけではありません。また、もらえる金額も退職理由や働いた年数によって変わってきます。
失業手当を受け取れる条件
失業の状態にある
失業手当を受け取るには「失業の状態」であることが条件になります。もちろん再就職先を決めてから退職した場合は条件から外れてしまいます。その条件とは
- 就職する意思がある
退職後に再就職の意思がなければなりません。結婚して主婦になる場合や、しばらく働く気がない場合はNGになります。
- 就職できる能力がある
病気やけがのため、すぐには働けない場合や、介護等で忙しくすぐには働けない場合はNGになります。
- 積極的な就職活動を行っている
4週間の間に最低2回の就職活動を行っていなければなりません。その活動内容を認定日に認定してもらうことで積極的な就職活動を行っているという条件を満たすことができます。
※認定日の申告は正確な情報を申告しないとペナルティを受けるので注意しましょう。
離職区分
離職の理由によって給付制限の有無や給付日数が変わってきます。まずは離職理由ですが、大きく分けると会社都合退職と、自己都合退職の2つになります。そして自己都合退職は退職理由によって2つに分けられます。
- 会社都合退職(特定受給資格者)
倒産や解雇等といった場合に当てはまります。また、これらの理由以外でも会社都合として認められる場合があります。この場合は離職の日以前1年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して6カ月以上あることが条件となります。
- 自己都合退職(特定理由離職者)
家庭の事情や病気などでやむを得ず離職した人が当てはまります。この場合は離職の日以前1年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して6カ月以上あることが条件となります。
- 自己都合退職
もっと働きがいのある仕事がしたい、賃金が低い、職場内での人間関係が嫌になった等、自己の都合で退職した場合に該当します。多くの退職者はこちらにあてはまるのではないかと思います。この場合は離職の日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して12カ月以上あることが条件となります。
失業手当の金額
気になる手当額ですが、ざっくりいうと離職前の給与の50~80%ほどになります。
計算方法
賃金日額
離職前6カ月の給与の合計額を180日で割って1日当たりの賃金を出します。(賞与は含みません)ただし、上限と下限が設定されていますのでご注意ください。
賃金日額=離職前6カ月の給与÷180日
離職時の年齢 | 上限額 | 下限額 |
29歳以下 | 13,700円 | 2,574円 |
30~44歳 | 15,210円 | |
45~59歳 | 16,740円 | |
60~64歳 | 15,970円 |
基本手当日額
賃金日額に特定の給付率を掛けて基本手当日額を出します。
基本手当日額=賃金日額×50~80%
賃金日額 | 給付率 |
2,574円以上、5,030円未満 | 80% |
5,030円以上、12,390円未満 | 80~50% |
12,390円以上 | 50% |
※離職時の年齢が60~64歳の場合は異なります。
また、基本手当日額にも上限と下限が設定されています。
離職時の年齢 | 上限額 | 下限額 |
29歳以下 | 6,850円 | 2,059円 |
30~44歳 | 7,605円 | |
45~59歳 | 8,370円 | |
60~64歳 | 7,186円 |
総支給額
基本手当日額に給付日数を掛けてれば総支給額が決定します。給付日数は雇用保険の加入期間と、先ほどの離職区分によって異なります。
総支給額=基本手当日額×給付日数
給付日数
会社都合で離職した場合の給付日数
離職時の年齢 | 雇用保険の加入期間 | ||||
1年未満 | 1~4年 | 5~9年 | 10~19年 | 20年以上 | |
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | – |
30~34歳 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
35~44歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
45~59歳 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
60~64歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
自己都合退職の場合の給付日数
離職時の年齢 | 雇用保険の加入期間 | ||
10年未満 | 10~19年 | 20年以上 | |
65歳未満 | 90日 | 120日 | 150日 |
給付制限
会社都合退職の特定受給資格者と、自己都合退職の特定理由離職者の場合は給付制限がなく、通常の自己都合退職者は3か月の給付制限があります。3か月の給付制限とは求職申込後、3か月後から給付対象になるため、約3か月間は離職の状態であっても失業手当が支給されません。一方、給付制限がない場合は、すぐに支給の対象期間になります。
失業手当が給付されるまでの流れ
それでは、求職申し込みをしてから失業手当が支給されるまでの流れを解説します。
給付制限がない場合
まず、求職申込日から7日間は待期期間というものがあります。そして、待期期間を満了した日から給付対象期間となります。その後、求職申込日から28日後の認定日までに最低2回の求職活動をして、それ以降は次の認定日までにまた2回以上の求職活動をします。それが給付日数分支給されたら給付は終了となります。
給付制限がある場合
求職申込日から7日間の待期期間までは制限がない場合と同じです。しかし、待期期間満了後3カ月の給付制限期間があり、3か月後にやっと給付対象期間に入ります。その間は当然何ももらえません。その後は通常通り、28日周期で認定日が来るのでその間に2回以上の求職活動をしてそれを報告します。
認定日
認定日とは、ハローワークで失業状態のチェックを受ける日のことです。前回の認定日から、今回の認定日の前日までの期間での求職活動実績を失業認定申告書に書いて提出し、それが認められると最大28日分の基本手当が金融口座に振り込まれます。認定日の日付と時間はあらかじめ決まっていますので、その日時に忘れずに行きましょう。また、申告書には真実を書かないとペナルティがあるのでご注意ください。
認定日を忘れてしまった方はこちらの記事を参考にしてください。
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再就職手当
失業手当は給付日数分もらったら、それ以上もらうことはできません。逆に早々に就職が決まってしまった場合はどうなるかというと、再就職手当というものがもらえます。これは離職者に早く安定した職業に就いてもらうための制度です。具体的には、失業保険の給付日数を3分の1以上残して再就職した場合で、一定の条件を満たしていればもらうことができます。そのため、早く就職したからといって残りの失業手当が全てもらえなくなるわけではありません。
再就職手当の計算式
再就職手当額=基本手当日額×支給残日数×60% or 70%
給付日数が3分の2以上残っている場合・・・70%
給付日数が3分の1以上残っている場合・・・60%となります。
実例
僕の実際の体験談をお話しします。
僕は以前の会社で残業が多く、自分の時間があまりとれないため退職を決意し、12年間勤めた会社を自己都合で退職しました。その後いろいろ調べていると、自己都合退職でも会社都合退職に変更できる場合があることを知ってハローワークに相談しました。すると、自己都合で退職したにもかかわらず会社都合になりました。
自己都合退職であれば3か月の給付制限付きで給付日数120日分でしたが、会社都合になったことで給付制限なしで210日分もらうことができました。こちらについては以下の記事で詳しく書いています。
今回は、自己都合退職をしたけれど会社都合退職になって、給付制限なしで給付日数が優遇された話を僕の実際の経験からお話しします。 ※僕が失業したのは2018年なのでその時と金額や条件が変わっている場合があります。また、ハローワークの認定基[…]
まとめ
失業手当について解説してきました。何も知らないとちょっとしたことで損をしてしまうことがあるので、離職を決意した場合はなるべく離職した後のことを考えてから行動しましょう。実際僕も失業した時にたくさん調べて少しでも損をしないように対処しました。昔と違って今は転職が当たり前の時代になっています。無理して嫌な職場で働かず、自分に合った職場を探すことはとても大事なことだと思います。どうせ働くなら満足度が高いところで働く方が人生楽しいと思いますので。